introduction

恋、友情、仲間、家族……青春のすべてが詰まった“忘れられない時間”を大切に描く物語。

高校1年の終わり、双葉は運命の再会を果たす。その相手は、中学時代に転校し、忽然と姿を消してしまっていた初恋の人・田中洸。その洸が、3年ぶりに双葉の前に現れた。しかし、洸の苗字は「馬渕」に変わり、性格もクールな別人になっていた……。徐々に明らかになっていく、空白の3年間。二人の恋は、再び動き出す。

高校1年の終わり、双葉は運命の再会を果たす。
その相手は、中学時代に転校し、
忽然と姿を消してしまっていた初恋の人・田中洸。
その洸が、3年ぶりに双葉の前に現れた。
しかし、洸の苗字は「馬渕」に変わり、性格もクールな別人になっていた。

中学時代の辛い記憶から、
高校では友達と表面的なつきあいを続けてきた双葉。
しかし、洸には「友達ごっこ」と言われてしまう。
そんなある日、双葉は「ぶりっ子」と敬遠されている同級生・槙田悠里が
一人でお弁当を食べているところに遭遇する。

田中先生が洸の兄だと知り、
双葉は洸に家族の話を聞こうとする。
そして中学時代の夏祭り、
洸が待ち合わせ場所に来なかった理由を初めて知るのだった。
2年生になり、新しいクラスでまた一から頑張ろうと決意する双葉。
そこへなぜか特進クラスのはずの洸が現れる。

新しいクラスで学級委員に立候補した双葉。
同じく学級委員の洸、イベント委員の悠里、村尾修子、小湊亜耶と
チームで泊まりがけのリーダース研修に参加することに。
ところが朝から早速トラブルに見舞われて先行き不安な上に、
何だかチームの空気も悪くて……。

洸のことが気になり始める双葉。
修子が田中先生に想いを寄せていることを偶然知る悠里。
それぞれの思いを抱えつつ、研修を通してチームは徐々に心を通わせ始める。
その矢先、オリエンテーリングで森に入った5人は道に迷ってしまう。

悠里は双葉に「洸を好きになった」と打ち明ける。
ようやく手に入れた友情と芽生え始めた恋心の間で、双葉は途方に暮れる。
友達を失いたくない一心で自分の気持ちを抑えようとする双葉だったが、
学級委員の仕事で洸と二人っきりになり……。

洸が好きだと自覚する双葉。
一度は悠里に打ち明けようと決意するも、
中学時代の友達に偶然再会したことがきっかけで、
恋と友情の両立の難しさを思い知ることに。
それなら密かに想い続けようと思う双葉だったが、
悠里との会話はどこかぎくしゃくしてしまう。

双葉は、悠里に洸への想いを告げる決心をする。
そして放課後、悠里と修子を前に、ついに正直な気持ちを話す。
その帰り道、双葉は洸が夜遅く出かけるところに遭遇する。
つい気になってついていくと、
繁華街でたむろする若者の中に、洸の姿があった。

「大事な物を作ると色々しんどくなるから」
という洸の言葉が気にかかる双葉は、悠里と修子に打ち明ける。
学校の成績も下がっていることを知り、
ますます洸を心配する双葉と悠里は、
修子、小湊とともに「勉強会」と称して洸の家へ押しかける。

勉強会の途中で洸と悠里の空気が変わったと感じる双葉。
思いきって洸に尋ねてみるが、はぐらかされてしまう。
それでも「今の洸を知りたい」と食い下がる双葉を、
洸はある部屋に案内する。
そこで双葉が目にしたものは、
洸が変わった理由を静かに示していた。

長崎で過ごした中学時代、洸は病気で母を失っていた。
無力だった自分を責めて今も苦しみの中にいる洸の心を知った双葉。
洸が自分にそうしてくれたように、
今度は自分が洸の心の扉を開けたいと願い、
洸を追いかけて必死に想いをぶつけるのだった。

初めて弱さを見せた洸を、父と兄の待つ家に帰す双葉。
洸は三人で食卓を囲みながら、ようやく自分の気持ちを口にする。
翌日から洸は、今までとは少し違う雰囲気をまとって仲間と接するようになった。
そしていよいよ終業式。
ここから眩しい夏が始まる。